「人権」ってなんだろう?

公開日 2016年08月18日

更新日 2022年04月20日

人権とは

  人は誰でも自分らしく、そして幸せに生活するという基本的な権利を生まれながらに持っています。人権とは、国籍・性別・出身・経歴等を問わず、地球上のあらゆる人々に普遍的に保障されている基本的な権利なのです。それは、決して難しいものではなく、誰にでも心で理解し、感じることのできるものです。                                                                    しかし、私たちの身のまわりには、女性・子ども・高齢者・障がいのある人・同和問題・外国人などのさまざまな人権課題が存在しています。                                                         近年では、インターネットの匿名性を利用した人権侵害をはじめ、外国人に対する不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)のほか、性的少数者(LGBT等)や 新型コロナウイルス感染症を起因とする偏見や差別など、新たな人権問題も発生しています。全国的な人口減少や少子高齢化が急速に進展する中、人権を擁護していくことはますます重要になってきています。

さまざまな人権問題

(1) 女性の人権

 社会の習慣や慣行の中には、性別による男女の固定的な役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が依然として根強く残されています。また、配偶者等からの暴力(DV)や性暴力の問題も増加・深刻化しています。そのため、女性と男性が、性別にかかわらず、互いの人権を尊重するとともに、責任を分かち合い、その能力を十分に発揮することができる「男女共同参画社会」の実現を図ることが重要です。

(2) 子どもの人権

 少子化や核家族化の進行、家庭の養育機能の低下、価値観の多様化など、子どもたちを取り巻く社会環境は変化し続け、子どもをめぐる問題も複雑化しています。このため、家庭では児童虐待等の問題、学校ではいじめ、不登校、体罰等の問題、地域社会では有害図書やインターネット上の不適切サイト、覚醒剤等薬物乱用などの問題が起きています。近年では、ヤングケアラーと言われる18歳未満の子どもが、自身の親の介護や兄弟の世話・家事などを担うことで、勉強や進路などに支障が出ているケースが増加しています。子どもが心身ともに健やかに成長できるような環境づくりを社会全体で支援していくことが大切です。

(3) 高齢者の人権

 高齢化や核家族化の進展に伴い、高齢者の独居や夫婦二人だけの世帯が増加する中、高齢者に対する身体的・心理的虐待や介護放棄のほか、悪質な訪問販売や財産奪取等の犯罪など財政面での権利侵害等が問題となっています。高齢者が、住み慣れた地域や家庭において生きがいを持ち安心して暮らせる社会を構築することが重要です。

(4) 障がいのある人の人権

 障がいのある人が社会の一員として活動に参画し、自立して生活を送ろうとするとき、物理的な障壁、制度的な障壁、文化・情報面の障壁、意識上の障壁等があります。また、障がいのある人たちは、ともすれば偏見や差別を受けやすい立場にあります。障がいのある人もない人も互いに支え合い、地域でいきいきと明るく豊かに暮らすことのできる社会(ノーマライゼーション社会)の実現を図ることが重要です。

(5) 同和問題

 同和問題とは、日本社会の歴史的過程で形づくられた身分制度に由来するもので、我が国固有の人権問題です。不適切な身元調査や不公平な採用選考、偏見に基づく同和地区の問合せ等の事件が起こっています。この問題を解決するためには、私たち一人ひとりが同和問題を正しく理解し、差別を許さないという強い意識を持つことが大切です。

(6) 外国人の人権

 経済や社会のグローバル化に伴い、日本で生活する外国人が急増していますが、言語や習慣、文化、宗教等の違いからくる誤解や偏見などから、就労に際しての差別、入居・入店の拒否、差別発言等様々な問題が発生しています。日本人と外国人の双方が、それぞれの文化的・宗教的背景などを理解し共存していくことが重要です。また、外国人を日本人とともに社会を担っていくパートナーととらえ、人間として尊重し合える、国際化時代にふさわしい人権意識を育むことが大切です。

(7) HIV感染者・ハンセン病患者等の人権

 エイズウィルス(HIV)やハンセン病などの感染症に対する正しい知識と理解は、いまだ十分な状況とはいえず、これらの感染症にかかった患者や回復者などが、周囲の人々の誤った知識や偏見により、日常生活や職場などで差別やプライバシー侵害を受ける問題が起きています。周りの人が病気について正しく理解し、患者やその家族の人権に配慮し、支えていく必要があります。

(8) インターネットによる人権侵害

 インターネットや携帯電話等の普及により、情報の収集・発信やコミュニケーションにおける利便性が大きく向上し、生活が便利になった反面、情報発信の匿名性を利用した個人に対する誹謗中傷や差別的な情報の掲示、プライバシー侵害等の人権に関わる問題が生じており、また、サイトを利用した犯罪に巻き込まれる事件も発生しています。インターネット等の利用者は、個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めるとともに、適切に利用することが必要です。

(9) 災害時における人権への配慮

 平成23年3月に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故は、多くの人々の暮らしを一変させ、理不尽な苦しみをもたらしました。避難所では、高齢者、障がいのある人、女性等に対する避難所生活での配慮が問題となりました。また、放射線被ばくについての風評に基づく差別的取扱などの人権問題が発生しています。災害時に、すべての人の人権が適切に守られるよう、私たち一人ひとりが人権への配慮について、関心を深め、正しい認識を持つことが必要です。

(10) 性的少数者の人権

   私たちが暮らす社会には、男女の性に当てはまる人以外にも、恋愛や性愛の対象が同性または両性に向かう人や、「こころの性」と「からだの性」の食い違いに悩む人がたくさんいます。しかしながら、社会の理解は進んでおらず、性自認や性的指向を理由として、様々な場面で偏見や差別を受けるなど、多くの当時者が生きづらさを感じています。 性のあり方はさまざまであり、性の多様性について正しく理解し、偏見や差別をなくすことが必要です。

(11) その他の人権問題

  その他にも「犯罪被害者やその家族」、「アイヌの人々の人権」、「刑を終えて出所した人」、「ホームレスの人権」など、数多くの人権問題が存在します。人権は、社会の変化にともない多様な広がりを持つことから、新たな動きにも常に目を向けていくことが必要です。


外部リンク

 ・法務省 人権擁護局「主な人権課題」(外部サイト)
 ・埼玉県 人権推進課「さまざまな人権」のページ(外部サイト)

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