公開日 2025年07月04日
国立健康危機管理研究機構によると、今年の百日せきの累計患者数が、6月24日時点の速報値で3万1966人になりました。昨年は4千人余りであり、すでに8倍ほどの数値となっています。
百日せきとは
百日せきは世界的に見られる疾患で、いずれの年齢でもかかりますが、小児が中心となっています。母親からの免疫が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、乳児(特に新生児や乳児期早期)では重症になり、肺炎、脳症を合併し、まれに死に至ることもあります。
典型的な症例
経過は3期に分けられ、全経過で約2~3カ月で回復するとされています。
1. カタル期(約2週間持続) :かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。
2. 痙咳期 (カタル期の後に約2~3週間持続):次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。夜間の発作が多いですが、年齢が小さいほど症状は多様で、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(顔色や唇の色や爪の色が紫色に見えること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。合併症としては肺炎や脳症などもあり特に乳児では注意が必要です。
3. 回復期:激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなります。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。全経過で約2~3カ月で回復します。
感染経路
鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染や、感染者と接触したりすることによる感染(接触感染)とされています。
百日せきの予防のポイント
スケジュールに沿ったワクチン接種
五種混合ワクチン接種が有効です。定期接種の対象、生後2ヶ月になったら、早めに接種しましょう。
マスクの着用等普段からの咳エチケットの励行を
(1)咳やくしゃみを他の人に向けて発しない
(2)マスクをしない状態で咳やくしゃみが出るときはハンカチなどで口を覆う
(3)手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗う
手洗いうがいをしっかりしましょう
飛沫・接触感染するため、手洗いやうがい、手指消毒をしっかり行いましょう。